2つの投資対象による安定性と成長性の実現
本投資法人は、社会・経済構造の変化を的確に把握の上、人が居住、滞在する空間である「居住用施設」及び「ヘルスケア施設」への投資を通じて、安定した賃貸収益の獲得と資産規模の着実な成長を実現し、投資主利益の最大化を目指します。
居住用施設への投資
東京経済圏及び大都市中心部への継続的な人口の流入や、特に東京経済圏を中心とした賃貸住宅の限定的な供給状況を背景として、良好な賃貸市場環境が継続しています。また、昨今の日本の社会環境変化として、若年層における持家比率の低下や、住居保有にとらわれない軽快なライフスタイルの選好といった「ライフスタイルの多様化」が進展しており、賃貸住宅のポートフォリオは、このような日本の社会構造の変化を踏まえた上でも高い魅力があると、本投資法人は考えています。
また、賃貸住宅に代表される居住用施設は、他の用途の不動産と比較して、一般的に賃料が景気の変動等による影響を受けにくく、かつテナントも分散されていることから、安定した収益性が見込まれるアセットです。加えて、1物件当たりの規模が小さいためリスク分散が図りやすく、流動性も高いアセットです。
n賃貸住宅の賃料の安定性
出所: 日本銀行「企業向けサービス価格指数」、総務省「消費者物価指数」
注: 民営家賃は総務省「消費者物価指数」の値、事務所賃貸及び店舗賃貸は日本銀行「「企業向けサービス価格指数」の値にそれぞれ基づき、1990年を100として指数化して表示しています。
本投資法人が居住用施設に投資するに際しては、土地自体が有する潜在的な収益力、いわば「土地が人を惹きつける力(人に住みたいと思わせる力)」に着目した投資判断を重視しています。「土地が人を惹きつける力」を評価し投資するにあたっては、以下の3つの投資尺度を用います。
「土地が人を惹きつける力」の投資尺度
■「地位(じぐらい)の高さ」地位(じぐらい)の高い土地とは、「歴史的に由緒があり成熟した場所」又は「政策的若しくは人為的に優良な住居地域として開発された場所」で、長期的に高い競争力を有する土地をいいます。
■「生活利便性の高さ」
生活利便性の高い土地とは、単に「最寄り駅までの至近性」や主要ターミナル駅・ビジネス街への「交通アクセスの良い土地」のみならず、周辺の商業施設や教育施設又は公園等の「生活周辺施設」が整備された土地をいいます。
■「特殊マーケットの有無」
特殊マーケットのある土地とは、一般的な賃貸需要に加え、「事業所、研究所、学校等の周辺」で、それらの施設の利用者による賃貸住宅への更なる安定した需要が見込まれる土地をいいます。
以上の尺度により、土地自体が有する潜在的な収益力を見極めた上で、「土地の特性に合致した適切な住戸タイプ」で構成されている物件を投資対象としています。
住戸タイプの分類
■「シングルタイプ」
18㎡以上30㎡未満/戸 :単身者中心
■「スモール・ファミリータイプ」
30㎡以上60㎡未満/戸 :夫婦世帯及び乳幼児等がいる家族世帯中心
■「ファミリー・タイプ」
60㎡以上/戸 :3人以上の家族世帯中心
ヘルスケア施設への投資
我が国では、男女とも平均寿命において世界最高水準に達し、これまでどの国も経験したことがない超高齢社会を迎え、総人口に占める高齢者の割合及び高齢者人口が増加する「高齢化」は、今後も継続していくものと予想されています。それに呼応するように、近年においては、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け施設が増加していますが、引き続き、高齢者向け施設を含むヘルスケア施設への需要は増加していくものと、本投資法人は考えています。また、ヘルスケア施設は不動産の中でも特に社会的な意義が大きい資産クラスであり、社会的な意義が大きいヘルスケア施設の投資運用を行うことで、昨今拡大が著しいESG投資(注)の資金の受け皿となることも期待できると、本投資法人は考えています。
(注)「ESG」とは、Environment(環境)、Social(社会)及びGovernance(企業統治:ガバナンス)のことをいい、ESG投資とは、環境、社会及び企業統治(ガバナンス)の要素に配慮して投資を行うことを意味します。
n高齢化の推移と将来推計
出所: 内閣府 「平成30年版高齢社会白書」
ヘルスケア施設では、賃借人であるオペレーターとの間で賃料固定型の長期賃貸借契約を締結することが一般的であることから、ヘルスケア施設の賃料は他の不動産に比較して経済情勢や景気の変動の影響を受けにくい性質があります。
本投資法人は、信用力が高く、運営実績のあるオペレーターを選定の上、原則としてオペレーターと賃料固定型の長期賃貸借契約を締結することで安定したキャッシュ・フローの実現を図ります。
なお、シニアリビング施設におけるオペレーターの賃料の源泉は、入居者の支払う利用料(プライベートペイ)と介護施設においては介護保険報酬や健康保険報酬(パブリックペイ)から構成されています。このようなオペレーターの収益構造に照らすと、オペレーターの収入は国が定める社会保障制度の変更により低減するリスクがあり、かかるリスクはパブリックペイの割合が大きいほど高いものと本投資法人は考えています。したがって、本投資法人がヘルスケア施設(シニアリビング施設)への投資を行うに際しては、物件の立地特性のみならず、入居者が支払う入居費用の価格帯や、オペレーターの収入に占める介護保険報酬等の水準(パブリックペイとプライベートペイの比率)等を勘案した上で投資判断を行います。